GIAグレーディングレポートの変更
- GIAはダイアモンドカットグレードを2006年1月1日からグレーディングレポートに記載する*1
- 適用範囲は
標準的なラウンドブリリアントカット
D~Zカラー
FL~I3クラリティ
0.18ct以上用件のみ。
- グレーディングレポート上のプロポーション情報を追加。例えばクラウン角度、パビリオン角度、スター長さ%とローワーハーフ長%
*1 これ以前カットグレードの記載は一切なかった。参照 GIA鑑定書
以前のカットモデルは2次元モデルのものを使わざるを得ませんでした。それは3次元では光源の組み合わせが無限と言っても良いほどの数でしたから。 3次元モデルはページ中段のような写真になります。
まず、ダイアメンション(写真1)の上にダイアを乗せて光学的にスキャンして自動的にテーブル、ファセット、パピリオン、ガードルの長さおよび角度を計測します。12秒で一つのダイアモンドルースを計測できるというのは、相当早いと感じました。
新しいモデルは三次元のデータを集めていって自称3850万通りの組み合わせをデータベースに入れているとしています。 ただこの中身は残念ながらブラックボックスになっています。 計測した値に目で見て判断する要素を加えます。 これをGIA ファセットウェアと言うソフトの画面に目視の要素を入力します。
GIA Facetware Cut Estimatorの要素
プロポーション(機器での自動スキャン) 目で見た 評価要因
テーブルサイズ ガードル厚(谷の部分の最大・最小)
クラウン角度 キューレット・サイズ
スターファセットの長さ ポリッシュ(研磨状態)
パビリオン角度 対称性
ガードル下部の長さ
ガードル厚(スキャンの平均)
これで、カットの評価は出力されてきます。
総論
プロポーションの相互関係(テーブルサイズ、クラウンアングル、パビリオンアングルなど)を考慮する必要で、プロポーションの組み合わせは、ここの数値(例えばテーブルは53%研磨状態はexcellentなどとと決められていました)より重要だと言うこと。
美しいダイアモンドのプロポーション範囲は、従来の慣行や業界の認識からよそうされるよりも幅か広い。例えばリンク先の 図で説明させていただきます。ここでテーブルを57%にした場合のクラウン、パビリオンの角度の組み合わせとカットの分布が出ています。 E:excellent、V: very good, G:good, F:fairの分布表です。結論は唯一とは言い難いと言うのが真実です。
もう一つ、ダイアモンドに輝きやファイアーを発揮する様々な研磨の仕方(プロポーションの組み合わせ)がある。 その良い組み合わせを積み上げて、全体の外観はより好ましいものになる。
結論
カットグレーディングの目視要因判断において、複数のダイアモンドを一貫して比較するには、業界で用いられている一般的な環境に相当する統一一貫環境が必要である。
又、個人的な嗜好も重要である。1つのカットグレードに外観の異なる複数のダイアモンドが該当するため、自分の好みに最も合うものを選ぶには、グレードだけではなく、ダイアモンド自体を直接見る必要がある。
拍子抜けするほど、常識的な結論なのでいささか驚きもしましたが、ああやはり自分が思ってきたものと同じ結論だな、とも思いました。 「ダイアモンドを見てどれが綺麗か選んでください。」とお客様にお願いすることがあります。 「いえ、私は素人ですから」ととまどわれますが、確かに目で見て綺麗なものを選ばれます。 見始めて10分もすると、目視では一応専門家である私とあまり変わらなくなると断言できます。
お客様の中には良質の原石を大きめのテーブルを取った、アントワープワットカットを好まれる方がいらっしゃいます。以前のカット基準ですとテーブルがダイアの直径の65%を超えるとGoodになる可能性が高かったのですが。 このお客様の好みは、良い生地の原石を綺麗に磨き上げたものがよく、テーブルが57%みたいなものは、照りが強くて派手すぎるとおっしゃいました。 私の好みは、テーブルが63%位なのですが、ここでは、Excellentはでないことになります。60%でようやくexcellentが顔を出します。
引用しようかどうか迷いましたが、一応これは誤った情報であり、どのようにダイアモンドを操作しているかの例だと思いますので引用しようと思います。 一部文章、名前などは変えてあります。
ネット等、ブリリアントの輝きでカットの最高のクラスは?エクセレント。そのエクセレントの最上級は3EX(トリプルエキセレント)と言われていま すが、その3EX最高級の1,000個をさらに厳格に分析、一個見つかるか位の確率で幻のカットと言われるのが減点0% 輝きの最高峰の頂点です。輝きはダイアの「生命」とのこだわりで(株)XXXのブライダルコーナーで取りそろえている究極のダイアモンドは、世界中の品質 本位の審美眼をもつプロの宝石店で賞賛される美しさです。
その横に、アローの写真と「赤色を当てると最高級カットにはすべて100%光が帰ってくる」とかかれています。
ここの鑑定所も間違いなくカット測定器DiaVisionとGIAのファセットウェアを使用していることです。 繰り返しになりますが自動計測の後、目で見た評価を加味して(ガードルの厚み、研磨状態、キューレットサイズ)ファセットウェアに 入力します。ここで、重要なのは目で見た要因の、例えば研磨状態をとると excellent,very good共にexcellentになっています。これはたくさんの要因があり、全体の組み合わせでしか綺麗さを反映するカット評価ができないからです。 これが終わった後に、研磨状態はexcellentで減点0, verygoodで減点2とかもう一度言い始めるのです。 3850万通りの組み合わせのデータベースから引き出された結論をご破算にして、勝手にルールを変えていると言って良いでしょう。 ならば従来通り、鑑定所独自の目視でやればいいとも思うのですが。
総論のところで述べた 「プロポーションの組み合わせは、ここの数値(例えばテーブルは53%研磨状態はexcellentなどとと決められていました)より重要だと言うこと。」いとも簡単にひっくり返しているのです。 そして、「唯一無二の減点0、幻のカット」などと言われても詮無いことです。
このハート&アローというのは私の大嫌いな言葉でも有ります。 これは日本人が作り出したローカルルールの産物でしか有りません。 二次元モデルの ところでお話しした、ダイアの光の反射の応用です。 1979年にGIAがこれを諦めて、GIAの卒業生には、トレーニングでは使っても実際は誤りなので、使わないようにと言われたものです。 ハート&アローが見えたとしても、excellentにならない可能性も多いのです。 これを見えるようにするのは角度を微調整(再研磨)しなければいけません。 はっきり言うと、整形美人と思われるのが一番妥当かと思います。
ダイアモンドを売る手段は、そしてお客様に納得していただく手段は色々あると思います。しかし、唯一無二のカットはこれしかないと言い切るのは、意図的にお客様を変な方向に誘導しているのだと思います。
目で見るのが重要で、個人の好みによっても、プロポーションの組み合わせは違ってくると言う結論です。 個人的には、ようやく私が主張していたことが少しは認められたような気がする今日この頃です。
鑑定所を説明するだけで、その上、ハート&アローのデモンストレーションを見せて売るお店は素人の店だと記憶の 片隅にでも置いておいてください。 いろんなカットが有りますし、お好みも有りますよと言うお店は、ダイアモンドを見る目も選ぶ目も持っていると思って間違い有りますんから。